空を飛びたい

名前すらわからない鳥だけど、自由に、誇らしげに、力ずよく、空を飛んで、くるくる、旋回していた。

わたしは足が途端に重たくなったような気がして、今なら目に見えないはずの重量すら目に見える気がした。

そして、私は、重量に縛られている。

縛られながら、この大地に立って生きているんだよねって、朝の空を力なく見上げた。

しばらく、風を感じて、身体に力を入れて、私は立ち上がる。

「翼があれば、戻れるのかな」

なんて切実に、翼を、願っている。

鳥が楽だなんて思っていない。

冬は寒い中で家でのんびりできないし、

台風が来たら、とかいろいろ考えなくても、あの子達はあの子達で一生懸命なんだ。

とっても、だからこそ、力強くて、私は惹かれるんだ。

私は最終の電車に逃げたの。

それで、切符握りしめて、がむしゃらに逃げてきたし、逃げ続けてきた。

ただ遠くに行きすぎてしまった。

たまにガラス窓から、降りた駅から、鳥を見ては、過ぎ去っていく。